明石商業はなぜ強い?その急成長の秘密は市の政策(野球で町おこし)にあった!

明石商業 なぜ強い


大阪桐蔭の一強を誇っていたここ数年の高校野球界。

しかし、その影で大躍進を遂げる高校があります。
それが、明石市立明石商業高校。

でも、全国の高校野球ファンでも数年前までは明石商業。
なんて名前は聞いたこともない人も多いはず。

では、一体なぜ?そんな一公立高校である明石商業が急に強くなったのでしょうか?
実は、明石商業はたまたま強くなっただけではなくある秘密が隠されているのです。

今回はそんな「明石商業の急成長の秘密」をお伝えしたいと思います。

近年突如甲子園の強豪校へと仲間入りした謎の公立校明石商業

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2019年にはセンバツベスト4入りの快挙

2016年の第88回センバツ高校野球では強豪東邦高校を破り初出場ベスト8。
それを皮切りに、その後も2018年の夏の100回大会で初出場。

2019年の第91回センバツ高校野球では智弁和歌山を破りベスト4の快挙。
その後も兵庫県でも2017年秋から2019年の春まで県内公式戦28連勝。

報徳学園や神戸国際大付属など、強豪ひしめく兵庫県においては圧倒的な強さを見せつけています。

ほんの10年前までは弱小校だった明石商業

明石商業なんて聞いたこともない!
全国の高校野球に詳しい人でもそんなことを考えているでしょうが、そう思うのも当たり前です。

それもそのはず、実は兵庫県民なら知っている人は多いと思いますが、明石商業はほんの10年前までは普通にどこにでもある公立高校だったからです。

2005年の夏は2回戦敗退。
2006年の夏は4回戦敗退
2007年の夏は2回戦敗退。

といったように、到底甲子園など目指せるような状態ではありませんでした。

それどころか、「グラウンドは雑草が伸び放題。練習をさぼって部室でカップ麺をすする部員もいた。」
そうで、甲子園どころが野球に対して真剣でない生徒が多くいた状況だったそうです。

明石商業はなぜ強い?大躍進その①狭間善徳監督の就任

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そんなつい10年前はそこらの弱小校と肩を並べるほどの実力だった明石商業。
一体なぜ?急速に強くなっていったのか?

その秘密を詳しく今からお伝えしましょう。

何と言っても、その急成長の立役者に狭間善徳監督の就任。
これが真っ先に挙げられるでしょう。

日体大卒。母校の明石南高、高砂南高でコーチを経験。
その後、明徳義塾高(高知)のコーチとして名将・馬淵史郎監督に師事。

1993年には明徳義塾中の監督に就いて全国大会で4回優勝。

そんな経験から培われた野球観や卓越した指導力を武器に、たった10年ほどで弱かった明石商業を甲子園の常連にまで変貌させました。

↓狭間監督についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています

狭間善徳監督(明石商業)の経歴が凄い!明徳時代に培ったID野球が指導の秘密

2019.06.24

明石商業はなぜ強い?大躍進その②市を上げた野球部のバックアップ

明石商業 なぜ強い

そもそもなぜ?狭間監督のような有力者が明石商業に就任したのか?

多くの人は「たまたま公立校にすごい指導者が来て野球部を強くした」
そんな漫画みたいなストーリーを想像しているかと思いますが・・・

実は、これは間違いで明石商業の躍進。

これは実は市の政策によって計画されたものだったのです。

どういうことか?

というのも、狭間監督の就任から遡ること3年前の2005年。
明石市は2005年に市の職員として全国初の「野球指導者の公募」を実施しました。

これは、「野球を通じて学校の質を上げ、甲子園に出場してまちの活性化につなげる」
そんな理念の元、実施された計画なのです。

簡単に言うと「野球で町おこし」をしよう!ということです。

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もともと明石市は野球熱が高い土地柄。
しかし、1987年に古豪・明石高校が春夏連続出場して以来、地元勢は甲子園から遠ざかっていました。

そして、そんな計画のターゲットに選ばれたのが市内唯一の市立高校の明石商業だったのです。

応募条件は「44歳以上、中学野球以上で5年以上の監督経験」
この応募に何百人という受験者(社会人の監督も含め)が殺到。

そんな中で、明徳義塾中学での6年間に「4回の全国制覇」
そんな実績と、地元明石の出身者であることも起因して狭間善徳監督が選ばれます。

実は狭間監督は明石商業が決まる直前まで、東北のある学校に行くことが決まっていました。

しかし、狭間監督の奥さんも明石市出身。
「東北より明石に帰りたい」という奥さんの意向もあり、地元の明石に戻ることになったそうです。

結果として、この決断が、明石市にとっても狭間監督本人の命運をも大きく変えた決断になりました。
本当人生ってわからないものですね。

そして、この街ぐるみで誘致した狭間監督の就任によって、市をあげた「明石商業の野球部強化計画」
そんな壮大な計画がスタートすることになります。

明石商業はなぜ強い?大躍進その③学校改革も後押しに

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少子化による学校改革が大きな転機

明石商業が強くなったもう一つ理由。
少子化による「学校改革」です。

これは、意図したものではなく、「時代背景」という偶然が重なった結果。

「野球による街おこし」という重責を負い、2006年に明石商へ着任した狭間監督。
そんな狭間監督の元で厳しい練習でめきめきと実力をつけた野球部。

そのかいあって明石商業は2008年夏の西兵庫大会で45年ぶりに4強入り。

当時のベンチ入りメンバー18人中17人は旧明石学区の生徒。
地元の選手で躍進し、多くの市民の期待と共感を集めることになりました。

しかし、その一方就任2年目の狭間善徳監督は手応えと同時に戦力的な限界も感じていました。

「選手が明石学区だけじゃ勝てない」
狭間監督はそんなことも感じていました。

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しかし、そんな最中、野球部に追い風となる出来事が起こります。
それが、「学区の拡大」です。

世間では少子化が進み、明石商業という高校自体の「生き残り策」も求められていた時期。
当時の明石商業の学区は、明石市と近隣の神戸市西区の一部、淡路市の一部に限られていました。

明石商業は市立高校で、もともと市民のための市立校として地元では愛される高校。
市外からの生徒を増やすのはどうかと考えられてもいました。

市立とはいえ、流れに乗り遅れれば、生徒募集に影響しかねない。
そんな明石商も翌2008年度から、推薦入試については全県から生徒を受け入れる制度に変更しました。

明石市は「学校の活性化のための学区拡大だった」
としていますが、この「学区拡大」が野球部にとってはこれ以上ない追い風となったことも事実です。

その甲斐あって兵庫各地から有力な選手が入学

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全県学区の導入で県内各地から入学できるようになった明石商業。

その結果、明石近辺以外から有望な中学生が、次第に明石商の門をたたくようになりました。

2012年入学の本格派右腕、日体大を経て昨年のドラフト会議で1位指名を受けて西武入りした松本航。
2016年、選抜大会初出場に導いた元日体大のエース吉高壮は同市立生野中出身。

昨夏2018年の西兵庫大会初優勝に貢献した左腕加田悠真は、洲本市立青雲中から明石に渡ってきました。

この明石商業の近年の躍進は、学区拡大によって流入して来た他の地域の選手によるもの。
そんな結果と言えますね。

推薦のほとんどが野球部という明石商業

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そして、現在の明石商業も学校をあげて野球部の強化に取り組んでいる。
そんな現状であると言っても過言ではありません。

↓以下の声は明石商業の在校生や卒業生による推薦入試の現状です。

内緒さん@在校生 [ 2018/11/11(日) ]
商業科の推薦の半分は野球部希望の人をとります。そのため、内申がみんなと同じぐらいだと合格は難しいかもしれません。

明商生@在校生 [ 2018/10/25(木) ]

今年の明石商業への人気度は分かりませんが、甲子園に出場したのもあると思うので例年以上に倍率が高くなるのが予想されます。
私が推薦入試をした時は推薦入試120人合格で野球部が半分の60人が合格してました。そのほかの60人は陸上部、サッカー部、卓球部、バレー部、テニス部女子、ソフトボール部などの強化指定クラブの子が合格を占めていたのでこのことから部活動へのアピールが重要になってきます。

高校受験ナビより引用

 

内緒さん@中学生 [ 2016/05/05(木) ]

いま中学3年です

推薦で受けても、野球部のひとを優先して野球部のひとをとるっていうのはほんとうですか?

専門学生@卒業生 [ 2016/09/20(火) ]
たしか本当だった気がします
野球部は確実受かるっていう説私の代でもありました

 

「推薦のほとんどが野球部」
これが明石商業の今の推薦入試の状況のようです。

また、2018年には商業化に「スポーツ科学コース」が設置されたこと。
この実質、スポーツ科のようなコースができたことも、ますます今後野球部に力を入れていこう。

そんな姿勢の現れのように思います。

明石商業はなぜ強い?大躍進その④私立並みの野球環境

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①室内グラウンド完備の私立に匹敵する設備

明石市は2005年の野球部強化計画スタート.。

それと同時に、市の資金でグラウンドに高さ14メートルの照明灯6基を設置。
夜間でも練習できるナイター設備の充実を図りました。

そして、2016年春の選抜大会で念願の甲子園初出場を果たした明石商業。
野球部へのバックアップは明石市だけでなく、町全体にも広がりました。

センバツ出場時の寄付はOBや地元企業などから約5千件、6千万円近くに上ります。
そして、その一部が、マシンの購入など施設整備に充てられました。

明石商業 設備

2017年には明石市が新たに屋内運動場を設置。

広さ約780平方メートル、天井高7・5メートルで床面は人工芝。
複数人投げることができるブルペンまであります。

室内ブルペンがある公立高校って・・・(笑)
もはやその環境は下手な私立高校よりも充実していますね(汗)

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雨天時の体育の授業が主な用途ですが、放課後は野球部が室内練習場として使用しています。

これにより一年を通して野球に専念できる環境が整った明石商業。
この設備によりますます県内から有力選手を集めることができるようになりました。

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また、2013年頃にはグラウンドの水はけを良くするとともに、生徒の意識を高める。

そんな目的から甲子園球場の整備を担う阪神園芸(西宮市)に注文して内野を整え、内野の土は甲子園と全く同じ。
そして、マウンドの高さや勾配までも甲子園と同じにしてもらいました。

2016年冬にも土を投入し、三塁側のブルペンとファウルゾーンも整備するほどの徹底ぶり。
明石商業の選手はそんな恵まれた環境で日々練習を行っているのです。

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2019.06.25

②狭間善徳監督が毎年兵庫県内をスカウトして回る

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やはり、この部分が一番大きいでしょう。

そんな学校改革で兵庫県各地から選手が集まる環境。
そんな環境を整えた明石商業ですが、野球部が強くなるための環境にまずあげられること。

それが「有力選手のスカウト」です。

薄々気づいている人も多いかと思いますが、明石商業はがっつりスカウトを行なっています。

もはややっていることは私立の高校と変わりません。

それも先ほどのお伝えした「推薦制度」によって、兵庫県内から有力な選手。そんな選手たちを集めることができるようになったこと。

それを機に、狭間監督は県内の強豪シニアなどを周り、積極的にスカウトを行うようになりました。

もちろん、近年の成績を見て、明石商業に生徒の方から入学を希望する人も増えてきました。

しかし、まだまだ大阪桐蔭や報徳学園などの名門校に比べてネームバリューでは劣る明石商業。

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スーパースター的な選手はそういう学校に行ってしまいますが、二番手、三番手くらいの選手をスカウト。

そういった選手たちを明徳義塾でコーチ経験のある狭間監督の指導で甲子園に出れるレベルに育て上げる。そんな流れが今の明石商業にできつつあります。

それに、公立ですが偏差値もそれほど高くないので、入りやすい。有名私学並みのグラウンド設備も魅力で公立なので学費も安い。

そんな理由もスカウトが行いやすい理由でもあると思います。

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しかし、明石商業の恐怖のリードオフマンの来田涼斗は例外。

来田涼斗はまさに大阪桐蔭などに行くレベルのスーパースターに分類される選手でした。
しかし、甲子園に行けなかった明石商業の野球部だった兄の無念を晴らすためにで明石商業に入学。

そんなラッキーも重なったことが今の明石商業といったところでしょう。

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③明石商業野球部は寮も完備

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明石商業は公立高校ですが、寮も存在します。
正確に言うと「下宿」のようですね。

2011年からは野球部が学校近くの民間アパートをあっせん。

食事も用意され、コーチらが定期的に日々の生活を見回るなど、もはや「野球部寮」と変わりません。

当初は2人だった下宿生は現在2019年現在では20人近くに増えたようです。

明石商業の「野球で町おこし」は令和のトレンドになるか

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「全国的に見ても、ここまで変化した公立校は他に無いと思います」
そんなことを語る狭間監督。

その背景には、狭間監督を招聘するきっかけにもなった野球部強化のために市をあげたバックアップ。
こういったものがあります。

これは賛否両論ありますが、個人的には明石商の取り組みは1つのロールモデル。
これぞ市政の「成功例」そう思います。

近年多くの私立高校に見られるただ野球部を強くすることが目的でなく、「野球を通じて街を活性化させる」
そんな「町おこし」を目的とした明石市の素晴らしい取り組み。

これは「野球を通じた人間教育」を掲げる高野連にとってはむしろ大歓迎ではないでしょうか。

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実際、野球部のおかげで明石商業の「偏差値」は急上昇。
明石市の高校でも普通科が定員割れしどんどん削っていく中、今や人気は明石随一。

「学校や生徒の雰囲気が明るくなった。市民からの評判も良くなっている」
と多くの学校関係者は話します。

そして、明石商業が甲子園で勝ち上がることで、多くの明石市民を元気にしている。
そんな見えない影響を明石市民にもたらしていることは間違いないでしょう。

明石市政が行なった「野球監督の公募」
そんな「野球を通じた町おこし」は令和のトレンドになるかもしれませんね。

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