阪神タイガースの若きエース・藤浪晋太郎。
2015年には最多勝を挙げ、将来の日本球界を担う逸材。
プロ野球ファンは誰しもそう信じて疑いませんでした。
しかし・・・近年、度重なる投げれば必ず死球を与えてしまうほどの不安定な投球内容。
2軍を行ったり来たりの不遇のシーズンを送っています。
そんな藤浪晋太郎投手はイップスではないか?
そんなことまで囁かれていますが、実際はどうなのでしょうか?
今回は、そんな藤浪晋太郎投手はなぜノーコンになったのか?
イップス疑惑の原因や著名人が語る改善策をお伝えできればと思います。
Contents
近年、コントロールが悪化しイップスとまで囁かれる藤浪晋太郎

2016年以降、謎の不調が続く
大阪桐蔭高校時代の2012年、甲子園で史上7校目の春夏連覇を達成。
2013年の阪神入団から3年連続で二桁勝利を挙げた藤浪晋太郎投手。
その未来は明るいものかと思われましたが突如、2016年から制球に苦しみ、7勝、3勝、5勝と低迷。
とりわけ右打者を相手にした際に投じるボールが打者方向へ抜けることが顕著となり、2017年にはデッドボールによる乱闘騒ぎも頻発。今春のオープン戦でも、四死球を連発する中で試行錯誤を繰り返し。
阪神ファンだけでなく、プロ野球ファンからもその謎の不調に戸惑いを隠せません。
そもそも藤浪晋太郎はイップスなのか?

そこで、疑われるのが「イップス」
精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、突然自分の思い通りのプレー(動き)や意識が出来なくなる症状のことで、野球では投球動作が多い投手に起こりがちな症状です。
しかし、まず初めにお伝えしておくと、藤浪晋太郎投手の口からは正式に「イップスである」
ということは公に認めてはいません。
しかし、その投球内容や不可解なプレーを見ていても、イップスの症状が少なからず出ているのは一目瞭然。

元北海道日本ハムファイターズで活躍し、現在は野球評論家としても活躍する岩本勉氏も藤浪晋太郎投手に対してはイップスだと推測しています。
というのも、岩本勉氏自身も入団3~4年目までイップスで苦しんだ経験があると語ります。
コントロールが定まらず、キャッチャーが捕れないようなところにしか投げられなくなった。
遠投で120メートルを投げているのに、その直後にブルペンに入ったら足が動かなくなったこともあったし、マウンドでガタガタと手が震えだしたこともあったといいます。
嘘のような本当のイップスが球界にはたくさん存在する。ワンバウンドしか投げられなくなった投手、二塁への送球ができない捕手、短い距離の加減したボールが投げられない投手や野手……。
『昔はええ選手やったのに、鳴かず飛ばずで辞めたなあ』というプロ野球選手っているやないですか? そのうち、8割以上がイップスが原因だったと僕は思います。心のコントロールが失われるので、僕はイップスを魔物と呼んでいます。藤浪の中にも魔物はいますね。完全には冒されていませんが……。イップスを公言する選手は少ないです。公言してしまえば相手に足下を見られ、ファンから野次られる。それを恐れるんです」https://www.news-postseven.com/archives/20190504_1366107.htmlより引用
藤浪晋太郎のイップスを疑うプレーの数々
それを裏付けるように、藤浪投手は制球難だけでなく、イップスを疑わざるを得ないプレーを連発しています。
まず、一つ目のプレーが「投球動作中にボールを落とす」プレー。
2018年シーズンの広島カープ戦で、エース大瀬良投手に頭部すれすれの左肩にぶつけ、危険球と捉えられても仕方がない死球でした。
そのあとの次打者菊池選手に投じようした初球は、投球モーションに入った途端に手からこぼれて、ボールが途中でポロッとマウンドに落ちたのです。
このプレーは多くの人がイップスを確信したシーンではないでしょうか。
藤浪のサイドスローの一塁送球は暴投対策なのか…? #阪神 #hanshin pic.twitter.com/aUBgOBFi9b
— むつき@(「・ω・)「ガオー (@mutsuki000) 2017年8月16日
そして、こちらは送球をサイドスローで行なっているところ。
藤浪晋太郎投手の打球処理による冒頭は非常に多く見られ、もはやオーバースローでのコントロールに相当自身がないことを証明しています。
打者による死球だけでなく、送球にも困難があることがさらにイップスであることを疑ってしまいます。
藤浪晋太郎はなぜイップスになってしまったのか?

イップスの原因は一般的にイップスになるときは何か大きなミスや失敗をした事が原因となるケースが多いです。
つまり、心理的な原因が投球フォームが崩れなどの技術的な弊害を引き起こし、負の連鎖が始まって行くのです。
イップスの原因①過去の死球によるトラウマ
そして、そんな失敗の一番の原因に真っ先に挙げられるのが「死球」
ではないでしょうか。
これがイップスを引き起こした最も直接的な原因ではないかと思います。
もともと荒球気味だった藤浪晋太郎投手。
それがちょうどよく機能していたのが2015年までの投球。
しかし、死球で乱闘騒ぎになるなど、知らず識らずのうちに、それがトラウマとなり投球動作に影響を及ぼしていったのではないでしょうか。
特に、2015年4月25日、敵地のマツダスタジアムで行われた広島東洋カープとの一戦で藤浪はマウンドに立ち、当時現役だったレジェンド右腕・黒田博樹投手を打席に迎えて対峙。

このレジェンドに対し、2球続けてインサイドへすっぽ抜けの荒れ球を投じました。
2度も引っくり返らされた黒田は血相を変えて大激怒し「オラッ!」と声を荒げて藤浪へ詰め寄ろうとした。
両軍のベンチから選手、スタッフたちが一斉に飛び出して一触即発の状態。
乱闘寸前の騒ぎになったが、何とか回避。
しかしながらこの時の藤浪晋太郎投手はマウンドで黒田に対し、謝罪の意思を示して帽子をとっていたものの「酷い震えが止まらない状態」になっていたといいます。
藤浪晋太郎投手自身が初めて起こした乱闘騒ぎ。
この瞬間から、内角攻めへのトラウマが知らず知らずのうちに植えつけられてしまったのではないでしょうか。
そして、その後の度重なる死球による乱闘騒ぎもイップスの深刻化の引き金になってしまったことでしょう。
「あの当時、自分はベンチにいた。恐怖感からなのか、黒田に恫喝されてから藤浪の表情は完全に青ざめてしまって明らかにガクガクと小刻みに震え上がっていた。藤浪本人は気付いていないようだったが、おそらくあの瞬間から知らず知らずのうちに内角攻めへの怖さが体に染み付いてしまったのだろう」とは元阪神のチームスタッフの証言だ。
https://www.msn.comより引用
イップスの原因②度重なるフォーム改造

次に挙げられる藤浪晋太郎投手のイップスの原因として、度重なるフォーム改造が原因です。
度重なる死球が引き金となり、イップスを引き起こしてしまった藤浪晋太郎投手。
そして、本来の投球を失ってしまった藤浪晋太郎投手は本来の投球フォームを失ってしまいます。
そこで、本来の投球フォームを取り戻そうと度重なるフォーム改造を行う。
しっくりいかない動作、違和感から一刻も早く脱したい。
野球への価値観が高い選手程、何とかしなければ・・
と焦りが生まれてきます。
その結果的、無駄な練習を過度にやり過ぎてしまうのです。

更に言うなら、早めに改善を図るうえで、「ああでもない、こうでもない」
と修正をやり過ぎてしまうことです。
良かれと思って取り組んだ練習が、かえって投球動作の自動化プログラムを崩してしまうということなのです。
まさに負の連鎖。
それらの一連の流れがさらにイップスを深刻化させることになってしまいました。
では、この藤浪晋太郎投手のイップスはどのようにすれば克服できるのでしょうか?
その糸口について、球界の著名人が独自の意見を述べています。
それらを今からご紹介しましょう。
藤浪晋太郎のイップス克服法①岩本勉が語る再生術
まず一人目は元日本ハムファイターズで現在野球評論家の岩本勉氏。
先ほどもお伝えした通り、この岩本勉氏自身も入団から3~4年目までイップスに悩まされました。
その経験から独自の意見を語っています。
まずはイップスであることを認める

岩本勉氏は、藤浪晋太郎投手にまずアドバイスするとしたら「イップスであるということを自分で認めること」
これが最も初めに持つべき意識だと語ります。
恥ずかしいかもしれないけど、認めることによって周りに理解を求めることができる。
イップスと周りに宣言することで、自分の気持ちも軽くなり、自分だけでふさぎこまないことができる。
そんなことも語る岩本勉さん。
イップスを心にしまう方法を覚える
また、「イップスは治らない」そんなことを語る岩本勉さん。
イップスを魔物と独特の例えで説明していましたが、この魔物は背中にのっかったら一生どかない。
とまで力説していました。
しかし、その魔物は心の奥底にしまうこともできると語ります。
イップスが現れそうだと思ったら自らの意思で退けるその心のトレーニングが必要。
藤浪晋太郎投手にもそれができるようにならないといけないと語っていました。
過去に実際に体験された人の意見だけに、非常に説得力がありますね。
そして、そのためには、まずは先ほど岩本勉氏が語っていた「まずは自分がイップスであることを自覚する」
これが最も大事なことではないでしょうか。
藤浪晋太郎のイップス克服法②落合博満が語る再生術
今回の、藤浪晋太郎投手の不安定な投球について落合博満氏が持論を展開しています。
番組で展開していた2つの藤浪晋太郎投手のイップス解決法をご紹介しましょう。
2軍の調整は意味ない?1軍で荒療治を推奨

まず、落合氏は阪神の首脳陣の藤浪晋太郎投手の「起用法」についての問題を挙げています。
金本前監督が2軍で調整することに対して「まずそんなの調整にならない」とバッサリ。
「2軍に行くってことは今の現状から逃げちゃうってこと」と2軍に行くことの独自の考えを展開。
1軍で使い続けることを前提に、その中で本人が現状を受け止めるようなシステムを作る努力が必要と語りました。
プレートの位置

もし、落合氏だったら藤浪晋太郎投手にどんな言葉をかけますか?
そんなことを言われ、「俺だったら3塁側のプレートを踏ませる」
そんなことを語る落合氏。
その真意は、プレートの3塁側を踏ませることで体の開きを抑えられ、ボールが抜けにくくなるということ。
そして、それに加えて「頭の近辺に行くんだったら言っていい」そんな言葉をかけるとも語っていました。
「いっちゃいけない」と思うから行ってしまう。
そんな心理的なことにも言及した落合氏。
選手の立場からしても、ここまで言われたかなり楽に投げれるかもしれませんね。
藤浪晋太郎のイップス克服法③桑田真澄が語る再生術
また、次に元巨人で現在野球評論家の桑田真澄氏もこの藤浪晋太郎投手にアドバイスを送っています。
桑田氏の意見は前に述べた2人の意見よりもさらに理論的なアドバイスで藤浪晋太郎投手に新たな着眼点をもたらしました。その内容をご紹介しましょう。
イップスの原因はメンタルの弱さでもなく走り込み不足でもない?

まず初めに、桑田氏は今回の藤浪晋太郎投手の不安定な投球の原因に「メンタル」や「走り込み・投げ込み不足」
といったものを真っ向から否定しています。
そもそも「メンタルが強くなければ甲子園で優勝なんてできない」
そんなことを語っていました。
では、今の藤浪晋太郎投手に足りないことはなにか?
それはシンプルに「技術不足」だと語っていました。
フォームさえ「これだ!」というものが見つかれば全てクリアできる。
そんなことを語っています。

そして、これに関しても「メンタルが弱い」「走り込みや投げ込みが足りない」そういう問題ではなく、巷で言われているようなものが原因ではないことを決して強がりではなく藤浪晋太郎投手自身も否定しています。
桑田氏のこと言葉自身も本人が思っていることを代弁してくれているようで、本人のその表情からも、桑田氏の考えが今まで受けたアドバイスの中でも一番腑に落ちたのではないでしょうか。
投球フォームの固定がコントロール改善の鍵
【①リリースの位置を意識する】

では、桑田氏が語る具体的に「技術力」とはどのような部分のことを指すのか?
それが「リリース」の位置。
桑田氏はまず、野球界の常識を疑え。
そんなことを語っています。
というのも、野球界の常識ではピッチャーの投球フォームを安定させるために「トップの位置」=ボールを離す前の腕が上がりきった位置を意識すること。
このトップの位置を「早く高く作る」ことが正解。そのように言われてきました

しかし、桑田氏の理論では、実はトップを早く高く作ったところでリリース=ボールが離れる瞬間
に向かって肘は下がっていく。=つまりコントロールが定まらない。
そんなことを語っています。
なので、トップをしっかり作ることを意識するのではなく、高い位置で「リリースポイントを定める」
意識を持つことが大事。=リリースがトップにならないといけない。
そんなことを語っています。

藤浪晋太郎投手も実際に桑田氏に一番どこを意識しているか?
そんなことを聞かれ、「トップの速さ」そんなことを語っていました。
このトップが遅れないように意識する。
このトップが遅れると収集つかないぐらいフォームが安定しない。
そんなことを語っていましたが、実はそれが落とし穴だったかもしれませんね。
桑田氏の語るように、トップの位置をしっかり作ることではなく、その先のリリースの部分を最も高い位置に持ってくることを意識することで、もっと今までと違った感覚を掴めるのではないでしょうか。
【②腕を振るポイント】

次に、桑田氏が提言する投球フォームの安定化のポイント。
それは「腕を振る意識」です。
桑田氏は、頑張って腕を振ろうと意識している藤浪晋太郎投手に対して、「腕は勝手に振られるような体の使い方を意識しなければいけない」そんなことを語っています。

ピッチングは自転車に例えるとわかりやすいと語る桑田氏。
自転車を漕ぐ時に、スピードを出すために力を入れないといけないのは下半身=足の部分。
そして、右に曲がる時に初めて腕を使います。

それと同じで、投球もスピードを出すために力を入れるのに必要な部分は下半身。
腕を使うときはコントロールをつけるための予備動作にすぎない。
つまり、腕ではなくて、下半身をもっと使った投球ができることが大切。ということですね。
今回の桑田氏のアドバイスに、藤浪晋太郎投手自身も、「報道では根性論や精神論が足りないなどと言われていたが、そんなことは思っておらず自分も技術論が大切だと思っていた。」
そんなことを語っており、この年代でしかもPL出身という背景にも関わらず根性論ではなく、的確な技術論を展開して頂いた桑田氏の話に非常に感心していました。
桑田真澄さんは指導者してすばらしいものを持ってると思います。
野球選手としてこれだけ的を得た指導が出来る人は稀な存在だと思いますね。
藤浪晋太郎がイップスを克服するにはトレードが最も近道か?
ここまで、藤浪晋太郎投手には首脳陣を初め、様々な人たちからのアドバイスが送られていることでしょう。
そして、本人も冷静に対処しているでしょうが未だ一向に暗闇から抜け出せない状況。
しかし、個人的には藤浪晋太郎投手は他球団への移籍。
この環境を変えることが最も手っ取り早いイップスの克服法ではないかと思います。
環境を変えることはなにか見えない力が働くことは数多くの選手が実証しています。

最近では巨人から日ハムに移籍した大田泰示選手の例もあります。
あれだけ鳴かず飛ばずだった大田泰示選手が水を得た魚のように活躍し出しました。
これは技術面以外で環境の変化による何か見えない力が働いたことも確か。
もちろん、イップスは桑田真澄氏も指摘するように技術不足が大きな原因ではありますが、その間接的な原因には心理的な原因が影響していることでしょう。
そして、その心理的な影響を取り除くには「環境を変える」ことでイップスの克服へと繋がる。
これが藤浪晋太郎選手にとって今最も最善の選択肢ではないでしょうか。
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